(409) 会派視察③ 2月1日新潟県十日町市

(3)新潟県十日町市(越後妻有里山現代美術館と大地の芸術祭について)

〔視察の経過〕

十日町市文化観光課課長斎喜直氏より越後妻有里山現代美術館と大地の芸術祭について説明を受け、その後美術館内を案内していただいた。

大地の芸術祭は、地域活性事業の柱として「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が2000年に始まった。アートを媒介にした地域づくり・地域おこし。これまで8回開催され、事業費は約6億、実際には市の持ち出しは1回につき15億。芸術祭の効果として2022年度は入込客数57万人、109集落参加、経済波及効果は83億。芸術祭期間中は、越後妻有里山現代美術館をはじめ地域の里山・棚田・空家や廃校等も含め地域を挙げての芸術祭となる。大地の芸術祭がもたらしたものとして、地域の復興と再生、地域住民の参加、関係人口の増加(へこび隊、FC越後妻有、地域おこし協力隊等)もある。

課題としては、持続的な財源の確保・担い手となる人材の育成、確保・観光受入体制と経済効果拡大がある。

越後妻有里山現代美術館MonETは、現代美術を収蔵した美術館で圏域全体のヒト・モノ・情報が交差する場として、建築家原広司氏が設計。コンクリート打ちっぱなしの正方形の建造物で、真ん中は屋根のない吹き抜けで通常時は池になっているが、冬季は雪原、3年に1度の大地の芸術祭の期間中は特別展示の会場となる。2階の回廊には常設展示、ミュージアムショップ、カフェレストラン 「越後しなのがわバル」、コミュニティFMエフエムとおかまちのスタジオと事務所がある。

〔感想〕

説明を受けた後質疑を行った。次の点について感想と質問をさせていただいた。

問 大地の芸術祭ができたのは、1人の首長の思いがあったとのことだった。関係6エリアの議員は反対、首長の多くも反対の中で実現できたのは本当のところはどうしてなのか。

答 この地域は人口減少、高齢化が進んでいる。平成の市町村合併で事業に補助金が10年間出ることとなっていた。1994年新潟県知事が提唱した広地域活性化政策「ニューにいがた里創プラン」に則り、アートにより地域の魅力を引き出し、交流人口の拡大等を図る10カ年計画「越後妻有アートネックレス整備構想」を掲げた。地域の衰退に危機感を持っていた一首長がリーダーシップをとった。この事業のアドバイザーとして、アートディレクター・北川フラムに声が掛かり、前向きに動き始めスタートとなった。

 倉吉市も令和7年3月30日には鳥取県立美術館が開館予定であり、年間に20万人の来倉が見込まれている。地域の賑わいを創出し、観光客や交流人口、移住定住等に向けた取組が求められる。美術館を活用したまちづくりの参考となった。